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Interview

取材動画

北海道札幌市 社会福祉法人 南幌福祉会【取組事例インタビュー】

〈NorthSDGsMediaでは北海道札幌市の企業様のSDGsに関する取り組み事例を紹介しています。〉

【SDGs取組事例】社会福祉法人 南幌福祉会【福祉】

福祉の立場からSDGsを取り組んでいらっしゃる南幌福祉会様。
業種自体がSDGsに当てはまることから、事業計画にもSDGsの項目を設けて活動を進めていらっしゃいます。
現状の取り組みとその成果について島業務係長にお話を伺いました。


―事業内容を教えてください。
:社会福祉法人南幌福祉会は、豊かな自然に恵まれた空知管内南幌町にあります。事業内容としては、原則要介護3以上の方が入所可能な入所70名、短期入所(ショートステイ)8名定員の特別養護老人ホーム南幌みどり苑。要支援・要介護者共にご利用可能な1日25名定員の南幌町にお住まいの方を対象にした通所介護。2名の介護支援専門員(ケアマネージャー)が常駐し、こちらも南幌町内のご利用者様を対象にして、ご自宅でお困りの方のケアプラン作成だったりとか、サービス調整を行う居宅介護支援事業所の3事業を展開しています。

基本理念としては”南幌福祉会は、人々が幸福になるために存在する。”を掲げています。意味としては、当法人のサービスを選択していただいたご利用者様だけではなく、ご家族の幸福、地域の皆様の幸福、そして当法人にお勤めいただいている職員その家族の幸福、更には当法人に関りを持っていただいている皆様の幸福を成すために存在しています。それを実現するための行動指針として、「自分や家族が入所したいと思える、施設づくり」「自分や仲間が働きたいと思える、施設づくり」「地域やその住民から必要とされる、施設をづくり」を掲げていますね。

1つ目は、自分や自分のお父さんお母さんが入って欲しいと思える施設じゃないと、利用者様の幸せにつながらないといったことだったりということ。2つ目はSDGsに通ずる土台でいわゆる”やりがい”なのかなというと思うんですが、やっぱり人間同士なので、価値観だったりとかですれ違ったりもするんですよね。だけどもそれを否定するとか、できないことを嘆いたりとかっていうことではなくて、前向きに、みんなで前進していけるような仲間でいようということですね。何かトラブルが起きた時にトラブルシューティングとして、「結局それって自分だったらどう?」とか、「自分がやられたらどう?」とか声がけをしています。特にこの2つは日々の業務の中で役職者として言葉の中に織り込んで職員教育をしているところです。3つ目は、家族だったりとか、地域の皆様というところで、地域やその住民から必要とされる施設づくりを目指しますということですね。

 

―SDGsに取り組み始めたきっかけは何でしたか?
:個人的には、SDGってよく聞くなと思いだしたのが、去年の春くらいかな。私、ハジ→が好きだったんですけど、コロナが流行り出して色々と制限されている中で、ハジ→がライブできなくなっちゃって、ネット配信ライブをやってて。そのネット配信でハジ→が「みんなSDGsって知ってる?」っていう話の中から、「こういう歌をつくったんだ」っていうことで「SDGs for LIFE」という曲を披露したんです。SDGsはこれからどんどん広まっていくから、日本も遅れを取らないでやっていきたいっていう話を発信していて。私もさわり程度しか知らなかったので、そこから調べ始めたんですよね。きっかけは本当にハジ→だったんですけどその矢先に、施設長と「俺も実は調べてたんだよね」って話になって。「やっぱりそうだよね。福祉に通ずる部分ってめちゃくちゃ大きいよね」ってなって、実際今やれていることもあるし、今後SDGsは世界中で取り組まなければいけないっていうことで、もちろんやっていった方がいいよねって話になったんです。その後すぐに施設長がSDGsのバッヂを購入したので、1つ私も貰い、つけはじめました。そしたら職員も「係長それ何つけてるんですか?」って聞いてきてくれたので、「SDGsって知ってる?」っていうような話をして。「何をつけているの?」って感じで興味を持ってもらうところから、広めていきました。

なかなか社会福祉法人でSDGsに取り組んでいるところって、HP上で見てると少ないのかなって。でもこれだけ社会貢献事業をやってる社会福祉法人がSDGsをやっていかないのってもったいないと思うんです。事業計画に盛り込んでいるからっていうのもあるんですけど、ブランディングっていう意味合いもあります。自分たちがブランディングすることで、いろんな法人さんにもSDGsを知って、既にやってることもしっかり継続し、新たな取り組みを一緒にできる仲間を募っていければいいなという感覚ですね。今は職員が気づいて「電気代が増えてきてるね」っていう声が上がって、問題提起のポスターを作ってくれて、今トイレとかに貼ってるんですけど、意識を高めようと職員周知が始まっているところになります。

 

―SDGsで大切にしている目標はどれですか?
:3番の「すべての人に健康と福祉を」、10番の「人や国の不平等をなくそう」、16番の「平和と公正をすべての人に」は福祉業界にとって結構相通ずる部分なのかなと思うんです。福祉の理念というか。南幌福祉会では「生きる場」という言葉で表現するんですが、自宅で生活できなくなった人たちなど、町内外問わずに緊急でご利用したい方や、全道的に「生きる場」で困っている方の積極的な受け入れを行っています。体調面で不安がある方も町立南幌病院と連携を図りながら迅速な対応をしていますね。金銭的にお困りの方や経済虐待等で「生きる場」でお困りの方もいらっしゃるので、積極的に受け入れて、入所後は全ご利用者様平等にサービスが行き届くようにしています。

南幌町って小さい町なので、サービスがないから、町内に家族がいないからって札幌などに流出するんですよ。誰でも住み慣れた家や場所から離れたくないという想いだと思うので、どちらかというと私はそれをなくしたくて。入所だと要介護3以上じゃないと入れないけど、ショートステイでは受け入れるよ、など諦めずに南幌で住み続けられる方法を提案しています。

あとは、私もこの業界入って20年なんですけど、カッコつけたいわけじゃないんですけど、やっぱり介護をダサい仕事にしたくないなっていうのがあって。介護のやりがいを、3K(※)なんて言わせないために、っていうので「介護レンジャー」というものを作って「みどり祭り」っていううちのお祭りでのショーとして出たりもしています。
※きつい、きたない、かっこ悪い、給料安い、など人によってどれをセリフとするか異なるが、きつい・きたないは代名詞とされている。

 

―他にはどの目標に取り組んでいらっしゃいますか?
:他には4番と8番に取り組んでいますね。働きがいの部分でいくと、good楽っく!委員会(読み:グッドラックいいんかい)というものがあります。2年前から業務改善でTQM(Total Quality Management)活動を行っていて、現場の業務改善を行ってきました。その後good楽っく!委員会に名前を変えて活動しています。ただただ利用者さんの幸福を願いながら自分たちも楽しい、やりがいを見つけていこうよということで始めました。介護の魅力ややりがいを現場から発信することが足りないのかなっていうので現場の職員が主体となって運営できるようにした委員会なんですよね。楽しいことをやりながら自分たちの業務も楽になる。楽しくなる。というのにかけてgood楽っく!委員会と名付けました。

そのgood楽っく!委員会と受け入れている実習生がコラボしてこの前スノーキャンドルをやったんですよ。やっぱり利用者さんに楽しみを与える、普段と違う生活というスペシャル感を演出するっていうところを介護の学生さん達に体感して欲しかったので。多くの人は介護っておむつ変えたりお風呂入れたりすることって絶対答えるじゃないですか。私たちは実習生にそういうことを言わないんですよね。介護の仕事ってなに?って聞かれたら、「生きることをサポートすることだよ。その生きるの中に食事があったりとかトイレに行くことがあったりとか、お風呂に入ることがあるよね」って。
生きるんだから、生活に「楽しむ」だってあるのはあたりまえ。でも施設に入ったからといって、楽しむ機会がなくなっちゃうなんてありえないから、ご利用者様が楽しむことをサポートするのも介護だと教えています。なので、うちの施設で楽しむことを1番に提案しているgood楽っく!委員会とコラボしてやりがいや魅力を伝えています

 

―介護福祉業界の方へSDGsに対するメッセージをお願いします。
:日々、介護現場で働く仲間の皆様、大変お疲れ様です。私も最初は介護ってすごく大変な仕事で、いつまでこの仕事を続けられるのかわかりませんでした。ただ、働きがいや教育っていうところでいろんな人に「介護って実は楽しい仕事なんだよ」っていうことを伝えることが今の生き甲斐となっております。また、社会福祉や福祉の精神に通ずるものが、SDGsの本質に直結することが多いのかなというふうに思っておりますので、何か意識的に取り組むということではなく、今やっていること自体がSDGsなんだというふうに思ってもらえると、福祉の業界でも広がっていくのかなと思っています。今後、日本ももちろん世界中にSDGsが広がっていくと思うんですが、私たち福祉従事者が率先して舵取りをできるようになっていければと思っておりますので、みなさん一緒に頑張っていきましょう!

 


 

今やっていることがSDGsなんだという意識を持ち、その意識の中でさらにできることを探していく。
福祉の精神を持っていらっしゃるからこその発想ではないでしょうか。
自分たちの業界でSDGsの舵取りをするという強いリーダーシップを感じました。
ありがとうございました。

南幌福祉会島様とNSM岡田

社会福祉法人 南幌福祉会
業務係長 島 由樹
https://www.n-fukushikai.or.jp