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Interview

取材動画

北海道札幌市 絵師/まちづくりコーディネーター 林匡宏様【取組事例インタビュー】

〈NorthSDGsMediaでは北海道札幌市の企業様のSDGsに関する取り組み事例を紹介しています。〉

【SDGs取組事例】絵師/まちづくりコーディネーター 林 匡宏様【地域創生】

絵師として、まちづくりコーディネーターとして地域の声に耳を傾ける活動を行っている林匡宏様。
もったいないものに価値をつけ、様々な垣根を超えてみんながつながることのできる場を作られています。
この記事では、林匡宏様の取り組み内容をインタビュー形式でお届けいたします。

 


―まず、プロフィールからお願いします。
:林匡宏と申します。まちづくりコーディネーターや絵師と名乗ることが多いです。よくみんなの話を聞いてその場で絵にするということをやっています。何の絵を描くかというと、まちの将来像とか、この場所でどんな面白いことがあるかとか、そういうみんなの意見を聞いて実際にやっていくということをやっています。
今は合同会社lociというところで代表をさせてもらっていて、ゲストハウスとシェアハウスを江別で一軒ずつ持っています。それも始まりはみんなで絵を描いたところから、”この商店街に何があったらいいかな”という話の中で、じゃあゲストハウスを作ろうということになって始めました。
フリーランスでは、コモンズファンという屋号でまちづくりコーディネートをさせてもらっていて、札幌を中心にビジョンづくりや、社会実験のプロデュースをしています。今、体の半分は渋谷の職員で、エリアマネジメントコーディネーターとして、そういった横のつながりを作っていったり、街・エリア全体の価値が上がるようなことを推進しています。

札幌都心のビジョンを考えるワークショップの様子

札幌都心のビジョンを考えるワークショップの様子

 

―SDGsについて、大事に考えている部分は何でしょうか?
:2つのゴールを大事にしていますね。一つは、「つくる責任つかう責任」です。月形に工場がある木材加工会社の役員もやらせてもらっていまして、工場から出た廃材・木材を集めてそれをまた綺麗に成形して、繋げて、大きな梁や柱にリサイクルするみたいなことをやっています。シェアハウスとゲストハウスに使う木材は全部そこの廃材から持ってきています。CO2をサイクル的に出さない場をつくることを意識してやってますね。
加えて、場を作るというところでいうと、17番の「パートナーシップで目標を達成しよう」はかなり意識しています。渋谷でもそうですし、札幌でも江別でも枠を超えて人がつながり合えるような、そういう場をつくっていくことが、まちが面白くなっていくことに繋がるのかなと思ってやっています。

 

―現在携わっている渋谷区の開発について教えてください。
:そうですね、ただの都市開発はわかりやすいじゃないですか、ドーンと建物建ちましたーって。でもそれだけじゃなくて、これからの渋谷はもっと繋がりを作っていきたいと思っていて、そのつながりを表現する場所として、公園と川と道路ってあるんじゃない?みたいな話になっていて。それらを公共が整備して管理してっていう時代はもう終わっていて、ニューヨークのタイムズスクエアが有名な事例なんですけど、車道を止めてみんなの広場になっているんです。そういう場所を公園でも川でも道路でも作っていこうというのが日本全国の流れで、渋谷にも都市としての奥行きや魅力を作っていこうというところをやってます。一応僕の所属は渋谷区の土木部公園課にあるので、公園の整備があったときにただ単に行政がきれいにするんじゃなくて、企業や地域も一緒になってそういう場づくりに参加してもらったり、新しい制度をつくったり、そんな仕組みづくりを担当しています。

 

―札幌の南区を中心に活動されている、まなびまくり社についても教えてください。
:南区はデータ的に見たら課題先進地なんですよ、札幌の中で一番少子高齢化が進んでいるんです。でも、”どうにかしなきゃ”という強い想いを持ってる人が地元にもすごく多いんですよね。加えて真駒内駅前が再編されるという街の機運もあったり、たくさんある団地がもう結構古くなっていて、次のことを考える時期に差し掛かっていたり。そういったところでやっぱり次の時代、SDGsも加えてどういったまちにしていくかとか、そのまちで誰がどんな活動をするのかというところが大事だなと思って、数年前に「まこまない研究所」というチームを作って考え始めたのが最初のきっかけです。真駒内にある商店街だとか、団地を使わせてもらってマルシェだとかイベントをやってきましたね。それから商店街の一角の空きの店舗をお借りして、若い人がまちのことを考えるラボ的なものも作って動いてきました。

まなびまくり社の様子

まなびまくり社の様子

ひょんなことから藻岩高校の熱い先生と繋がって、高校生もまちづくりに入ってきたら面白いんじゃないでしょうかという話になりました。それから啓北商業高校、みなみの杜高等支援学校、新陽高校、開成中等教育学校などの高校生がそういうまちづくりの活動に参加してくれて、一昨年くらいからイベントとか、まちの課題に対してアイディアを出すみたいなことを自主活動としてやり始めたんですよね。それを見てくださった校長先生たちから、この活動は大事だねと言っていただいて、教育委員会とも話をして、今年度(2020年度)からは教育委員会で札幌市立高校の高校間連携プログラムと位置付けてもらいました。そこから全札幌市立高校生に案内を出して参加してくれた60人くらいの生徒さんと一緒に、そういった地域のプロジェクトを作っていくようなことをやってきました。南区中心ではあったんですけど、フィールドは札幌市全域で、僕が元々携わっていた色々なプロジェクトに高校生をマッチングさせるようなことをやらせてもらいました。

 

―仕事自体が社会課題の解決になっている林さんご自身の未来像を教えてください。
:信念として持っているのが「もったいないものに価値をつける」ということですね。上から目線で言ってるわけじゃないんですけど、今後もっと面白くなりそうかも!と思うところにお手伝いさせていただければいいなと考えています。渋谷でもそうですし、北海道でもそうなんですけど、次の未来に向かっていくときにいろんな人を垣根なく集めて次の一歩を踏み出せるような、そんな場をこれからも作っていきたいなと思いますね。僕はみんなの意見を聞いてその場で絵にするということをやっているので、”みんなでこんな未来を描きました”ということが分かりやすいと思うんですよね。そんなこともしながらいろんな人のバラバラな思いをまとめて、一本筋道を立てて向かっていけるようなお手伝いができたらなと思っています。

ライブドローイングの事例

ライブドローイングの事例

 

―最後に、世の中に対するメッセージをお願いします。
:今、簡単につながっていこうとか、つなげる場を作る人間になりたいですって言ったんですけど、そんな前向きな人ばかりじゃないし、やりたくてもできない人、そう思いたくても思えないような状況の人たちもいるし、学びたくても学べない子どもたちとか人たちってすごく多いと思うんです。そういった人たちに対して「やろうぜ、学ぼうぜ、一緒に頑張っていこうぜ」みたいなことを言うのってすごく乱暴だなと思うので、聴くってことを大事にしたいなと考えているんですよね。大企業の社長さん、地元のおっちゃん、子どもたち、ママさん、いろんな人が何を思っているのかをしっかり聴いたうえで、そのまち、エリア全体が一歩次に進む手助けができたらいいなと思うので、そういう創造的な未来に向けた話を一緒に聞かせてほしいです。
まちづくりって言われるとすごく重たいじゃないですか。そうじゃなくてフラっと気軽に来て、「少しおしゃべりしましょう」というのがメッセージかもしれないです。誰やねんって感じなんですけど(笑)気軽に足を運べる場を作っていってるし、これからも作りたいなって思ってるので、どんな動機でもいいのでそこにフラっと足を運んでほしいですね。
そこで喋ってるうちに次の展開が見えてくると思うんですよね。陳情を書いて市役所に送るとそれはクレームでしかないんですけど、そうじゃなくて、コーヒー飲みながら「ああだよね、こうだよね」って次の未来につながる話をしていると、ちょっと創造的な展開になるんじゃないかと思っています。それこそ17番の「パートナーシップで目標を達成しよう」ですね。国と国民とか、市と市民という立ち位置じゃなくて、お互いフラットに立場を超えてつながるイメージです。


人と人が様々な垣根を超えて繋がることができる場を作るために、聴くことを大切にする。
学生、行政、まち、それぞれが目指す未来を大きなキャンバスに描くことで共通項が見えてくるのかもしれません。
みなさんの街でも立場を超えた繋がりを作りませんか?

林匡宏様とノースジニアス安藤、NSM岡田

絵師/まちづくりコーディネーター
林 匡宏
MAIL:gm000000mg@gmail.com