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Interview

取材動画

東京都杉並区 企業ユニフォーム廃棄ゼロエミッション推進委員会【取組事例インタビュー】

〈NorthSDGsMediaでは北海道札幌市の企業様のSDGsに関する取り組み事例を紹介しています。〉

【SDGs取組事例】企業ユニフォーム廃棄ゼロエミッション推進委員会【警備・販売】

 

「ケミカルリサイクル」という言葉を存知ですか?
使用済みの資源を、化学反応により組成変換した後にリサイクルする技術のことで、最近ではペットボトルのリサイクルにおいても注目されています。
今回は、この技術を企業ユニフォームのリサイクルに活かす取り組みを行っている、長谷川代表にお話を伺いました。


 

―企業ユニフォームゼロエミッション推進委員会の事業紹介をお願いします。

長谷川:お客様(企業)に対して、通常のユニフォームではなく、エシカル素材のユニフォームをご提案させていただいております。
ただ、エシカル素材はまだ市場的に安いものではないことや、着心地・機能性といったところに関しては課題がありますので、お客様へヒアリングを行い、そのお客様に適正な企業ユニフォームというのをご提案させていただきます。

ユニフォームなので、一定期間使ったらもちろん捨てる時期が出てきます。
そのときに、ただ捨てるのではなく、我々の事務局で買っていただいたユニフォームに限っては、全国どこでも回収させていただいて、我々がパートナーシップを結んでいるリサイクル工場さんの方でケミカルリサイクルを行います。

chemical_recycle

つまり、服から再生ポリエステルを作り、服から服を作ります。
廃棄をゼロにして、必ずリサイクルをして、また新たに誰かの洋服などに蘇らせていく、ということを一つの事業形態として行っております。

 

―具体的なSDGsの取組内容を教えてください。

長谷川:SDGsの取り組みにつきましては、大きく3つのカテゴリがあると考えております。

1つが、12番のつくる責任つかう責任。
こちらにつきましては、“つくる責任”として、お客様・企業様に合わせたサステナブル素材のご提案をします。
そして、“つかう責任”として、お客様へ商品をお渡ししたらそれで終わりではなく、その後のフォロー、つまり廃棄ゼロといったところも我々の方でお手伝いさせてもらっています。

2つ目が、13番の気候変動に対する具体的なアクションとして、しっかり回収をさせていただき、廃棄をゼロにすることでさまざまな環境問題に対応しています。

そして何より服から服を作るというところですね。再生ポリエステルというものを作るんですけど、通常皆さんが着ているポリエステル素材は天然資源の石油からできているものが非常に多くございます。

polyester

その再生ポリエステルで作った洋服が今後100%出回りますと、石油を使わずに洋服を作れる。つまり循環型社会の形成が可能になってきます。

3つ目が17番のパートナーシップで目標を達成しよう。
我々がどんな良いことをしていたとしても、必ず協力をしてもらう人たちが必要になってきます。
このプロジェクトはさまざまな企業さんのパートナーシップによってできているスキームになっており、お客様自身にもお手伝いしていただかないとこのスキームは完成しません。

そういった意味合いでは、作り手と買い手、いわゆる全員がパートナーシップを結ぶことによって可能となる一つのスキームだと考えております。

 

―SDGsに取り組むようになったきっかけや想いを教えてください。

長谷川:私は警備業を経営しているのですが、元々家業が警備業ということもあって、当たり前のようにずっと警備の仕事をしていました。
そんななかで2018年にSDGsを知りまして、そこから独学でSDGsを勉強しました。

私は警備業協会の地元の理事もやらせてもらっていまして、会社の発展と社業全体の発展という二つの方向で警備業を見ていたのですが、インプットしただけではもったいないので、一回社業の方でアウトプットしてみました。
そうしたら社内で面白い変化が起きたので、「これって警備業全体に普及したらもっと面白いことが起きるんじゃないか?」と思いました。

まずは、自分の知り合いの会社さんに「SDGsってこういうもので、とても面白いよ。」とお話をしたのですが、当初はなかなかSDGsを受け入れてもらえなかったんですよね。
そこで、警備会社にSDGsを普及させるための会社を自分で立ち上げ、実際に警備会社さんにSDGsの公演をしたり、お話をさせてもらいました。

―それが「警備ログ」ですね。

長谷川:そうなんです。ここからまた一つターニングポイントを迎えるのですが、とある会社さんから、「すべての警備会社ができるSDGsを提案してほしい」というご要望がありました。
なぜかというと、SDGsでは「誰一人取り残さない」という概念があるからです。

警備会社というと大きい会社を想像しがちですが、夫婦のみで経営しているような小規模な会社もたくさんあります。
警備ログ立ち上げ当時、既に全国で約9,500社の警備会社があり、警備員さんでいうと約55万人も登録していました。今はさらに右肩上がりで、今では10,000社以上と、警備業という産業自体が大きくなってきているんですよね。
そんな規模感が大小さまざまな業界のなかで、SDGsに対応できる会社はそれなりの規模がないとできないのではないか?とご意見をいただきました。

「9,500社、55万人の共通するものって何だろう?」と考えたときに、ほぼ100%共通していることとして思い浮かべたのが、「制服を着てお仕事をしている産業」だということでした。

警備服

警備員の制服にはワッペンが入っていまして、それは警察に届出がされているものなんです。
なので、使い終わったらお金を払って産業廃棄物として捨てていたんですよ。
ここに目をつけまして、「これをリサイクルできたら面白いんじゃないか」という発想からスタートしました。

私も警備業の人間なので、リサイクルのことも衣服の繊維のことも全くわからなかったのですが、調べていくと日本ってすごい技術を持っていて、ケミカルリサイクルができる企業があって、服から服を作ることができるということを知りました。

55万人が着ている制服、つまり55万着をリサイクルできたら、世界的にインパクトを与えられて、警備業が非常に面白くなるのではないかと思いました。
我々警備業は安心と安全を守る産業と言われているのですが、そこに付加価値をかけて、安心と安全と環境を守る産業としてスタートしたことがきっかけです。

 

―今後の展望を教えてください。

長谷川:「警備業のなかの“廃棄ゼロ”を目指しましょう」という活動をしていくなかで、さまざまな企業さんから「警備業の制服以外でもできないか」とお声がけをいただきました。

せっかくスキームと形ができているので、警備業だけでなく、日本の企業ユニフォームを全て廃棄ゼロにしようという壮大なテーマを持ち、2021年の5月に立ち上げた企業ユニフォーム廃棄ゼロエミッション推進委員会が現在の最終段階の形態となっております。

zero_emissino

これは、廃棄ゼロにするプラットフォームとしてさまざまな企業さんと連携し、フレキシブルに対応できるような組織を目指しています。
ですので、今後の展望としては、日本の企業ユニフォームにおける「廃棄ゼロの社会」を実現していきたい。そういう文化を日本から作って行けたら素晴らしいのではないかなと思っております。

 


SDGsの原則でありながらも、取り組みを企画してみると意外と難しい「誰一人取り残さない」こと。
警備員の共通点を洗い出すことで、警備業界へ新たな価値を付加しました。
現在もゼロエミッション参加企業を募集しておりますので、ユニフォーム・制服を着用している企業の方は参加してみてはいかがでしょうか。

hasegawa_koichi

企業ユニフォームゼロエミッション推進委員会
代表 長谷川 功一
東京都杉並区上高井戸1-8-17ブライトコアビル本館3階
MAIL:k.hasegawa@sgs-saitama.com
URL:https://peraichi.com/landing_pages/view/zeroemission0