Interview
取材動画
北海道札幌市 NPO法人麻生キッチンりあん【取組事例インタビュー】
〈NorthSDGsMediaでは北海道札幌市の企業様のSDGsに関する取り組み事例を紹介しています。〉
【SDGs取組事例】NPO法人麻生キッチンりあん【福祉】
商店街と大学とNPO法人の3つが力を合わせて運営を始めた麻生キッチンりあん様。
まさにパートナーシップから生まれた活動です。
今回はNPO法人麻生キッチンりあんの西本理事長に子供たちとパートナーシップについて伺った様子を、インタビュー形式でお届けいたします。
―まず団体の歴史と概要をお願いします。
西本:そもそもは麻生キッチンりあんの活動は麻生商店街振興組合と藤女子大学とNPO法人Kacotamの共同で行っていたものなんですよね。2012年に商店街を活性化するためのアイデアを学生さんから募った、札幌市商店街再生事業学生アイデアコンテストっていうのがあって、藤女子大学の学生のアイデアが準グランプリを受賞したんです。札幌市から麻生商店街でそのアイデアを実現しませんか?っていう依頼があって、商店街の空き店舗を使ってオープンさせたのがもともとの始まりなんですよね。
アイデアの内容っていうのが、”ひとり親家庭の子どもたちに対する栄養バランスの摂れた食事の提供”と、”学習支援”だったんです。その”栄養バランスの摂れた”っていうところがとても大事で。ひとり親の子どもたちや、共働きの家庭の子たちっていうのはなかなか栄養バランスを摂るっていうところが難しかったり、果物を食べる機会がちょっと少なかったり。そういう背景もあって、ひとり親家庭の子ども達の支援を始めました。
それからこども食堂も始めて活動していくなかで、商店街区外からもこども食堂に参加してくれる人たちがどんどん増えていったこともあり、2019年11月にNPO法人を設立したのが大きな流れですね。
―活動内容をお聞かせください。
西本:事業は、一般事業と社会貢献事業というのに分かれています。一般事業は、麻生キッチンりあんの場所自体をお貸しするレンタルスペース運営です。将来お店を持ちたい人が試験的に使われたりとか、お料理に自信のある人がランチ提供したりとか、学生さんが古着屋さんをやったりとか。夜居酒屋さんをやっていた方とかもいますね。このレンタルスペース事業で収益を得て、その資金で社会貢献事業を運営しています。
社会貢献事業は先ほどお話しした、ひとり親家庭の子どもたちへの学習支援と栄養バランスの摂れた食事の提供と、こども食堂、子育て支援、介護相談をやっています。
―特に西本理事長が力を入れている、思い入れのある活動はありますか?
西本:私は生まれも育ちも麻生で、この地域で生まれ育ってるんですよね。なので、近所の人も小さい時からの知り合いだし、商店街の上司は幼馴染のお父さんだったりとか、なんかもうそういう感じで、街に育てられたっていうのが私はすごく大きくて。親がいないときには近所の人たちが面倒を見てくれるみたいな感じで育ってきたんですよね。
仕事で一回麻生を離れて戻ってきたときに、たむろしてる子どもたちがすごく目について。居場所がないのかな?って感じたタイミングと、こども食堂のニュースが入ってきたのがドンピシャで合って。それで「商店街でも学習支援の他にこども食堂もやりませんか?」って私が提案したんですよね。日本で一番最初にこども食堂を始めた人のところに視察に行かせてもらったりもしました。
ただ、商店街って商いの場じゃないですか。なので、「こども食堂が大事なのはわかるけど、商売と関係ないことをやるっていうのは、とてもじゃないけど商店街の組合店さんが納得しないんじゃないか」っていう意見もありました。ただ、子どもって将来私たちと一緒に働く人たちなわけですよね。私がそうやって育ててもらったように、街で育てるっていうことはとても大事だと思うし、治安の維持や、非行防止とかにも繋がると思うんです。子どもたちを街で育てることで、ゆくゆくは自分たちに返ってくるんだから、やる甲斐はあるっていうことを説得して、それでOKをもらって2016年からこども食堂を始めました。なので私にとってこども食堂は非常に思い入れがありますね。
―そんな西本理事長の信念・理念をお聞かせ願います。
西本:私はこの仕事をする前から、”子どもの未来をハッピーに”っていうのを常に思ってやってきています。子どもの時から”子どもの気持ちが分かる大人になろう”と思ってたんですよね。周りに反面教師がいたからかもわかりませんが(笑)”子どもの未来をハッピーに”っていうのは常に思ってやってきました。
―多くの方と一緒に活動をされていますが、パートナーシップについてのお考えをお聞かせいただけますか。
西本:人って一人じゃ絶対限界があって。いろんな人と一緒にやっていくのって、面倒くさいことは山ほどあるんです。でも一緒にやると、すごいエキサイティングだったりとか、達成感を分かち合うとか、喜びが倍増するとか、そういうことがいっぱいあるんですよね。今回の取材みたいに、またそこから新しいご縁をいただけたりっていうこともあって、すごく大事だと思うんです。なので、何かやってあげたからやってもらうとかじゃなくて、本当に対等な関係性が大切で。一緒にやれる仲間をたくさん増やしていくためにも、対等さがないところにパートナーシップはないなって思います。条件とか付けちゃうとパートナーシップは存在しないなって思ってるので。その関係になるには、自分は源泉かけ流しのように、愛を伝え続けるじゃないけど、そうしていきたいっていうのは思ってます。自分が誰かの役に立ち続けるってことで対等さが生まれてくるのかなって思いますね。
パートナーシップで活動を進めていくことの大切さと難しさを教えていただきました。
自分が誰かの役に立ち続けることで、対等な関係を築いていく。
NorthSDGsMediaにとっても学びの多い取材となりました。
NPO法人麻生キッチンりあん
理事長 西本 香奈江
https://asabu-rian.com/