Interview
取材動画
北海道札幌市 覚王寺【取組事例インタビュー】
〈NorthSDGsMediaでは北海道札幌市の企業様のSDGsに関する取り組み事例を紹介しています。〉
【SDGs取組事例】覚王寺【寺院】
お寺を地域のコミュニティの場にするべく、様々な活動をされている覚王寺様。
今回はその活動内容と、活動の根底にある考え方についてお話を伺いました。
―活動内容を教えてください。
内平:お寺を地域交流の場にするために、色々な活動を行っています。具体的には、「お寺でヨガin覚王寺」という活動や、落語会の開催、SDGsのセミナー、他にもいろいろなイベントを開催していますね。あとは、今年から「あさぶじかん」という地域情報誌を発行しています。お寺から地域の情報を発信することで地域の人たちの”つながり”ができればと思っています。お寺ならではの活動で言えば、残ロウの再利用もしています。
―活動を始めたきっかけを教えてください。
内平:元々は地域のことにそんなに興味がなかったんです。ご縁があって麻生商店街の理事をさせていただくことになって、商店街の理事になってみて考え方が変わりました。地域があってのお寺でもあるので、地域を活性化させることによって、お寺自体も活性化できるんじゃないかなと思ったんですよね。
残ロウの再利用については、もったいないなという思いから始めました。お寺なのでお参りに来た方のロウソクの残りが本当にたくさん出るんです。その残りを今までは全て廃棄していたんですよね。あとは地域でもアイスキャンドルの取り組みをやっていたりして。そういった行く末、もったいないなという思いがあったので、本当に小さいことですけど、そういう残ロウで何か社会貢献というか環境貢献できないかなと思って。
当然うちの寺だけでできることじゃないので、札幌の中央区にあるキャンドル専門店にご協力いただいています。その専門店にこのお話をしたら、元々残ロウをリメイクすることをやっていたので、じゃあぜひ一緒にやりましょうと言ってくださって。まさにパートナーシップですね。
―パートナーシップの話がでましたが、同じような取り組みをしているお寺のネットワークはあるんでしょうか?
内平:そうですね、お寺同士の繋がりっていうのもできはじめました。お寺って以前は宗派を超えての繋がりっていうのがなかったんですよね。宗派が違うと全然会うこともなければ話をすることもないという状況が結構ずっと続いていたんですけど、最近は若いお坊さんたちがそういうをの取っ払って、違う宗派でも色々なアイディアを共有しながら、やっていこうという状況になっています。SDGsのセミナーも他のお寺さんと一緒にやったんですけど、そういったところで繋がりはできていますね。
―活動を続ける中でお寺としての変化はありましたか?
内平:お寺のことを知ってもらえるというか、前は歩いていてもお寺があるって知らなかった方も多かったんですよね。多分自分に全く無関係の場所なので目にも入っていなかったんだと思います。でも最近は、例えば麻生キッチンりあんさんに行ってお菓子を届けに行ったら、「覚王寺さんいつもありがとうございます」と言ってもらえたりだとか。交流ができるようになったというか、地域の一つとして認知されるようになったのかなっていうのはあります。
活動を始める前は本当に法事とか葬儀とか、宗教的な場でしかなかったと思うんですけど、それだけじゃなくて、地域の交流の場というか、地域にとっての一つのコミュニティの場として認められてきたのかなっていうのがありますね。
【NSMで以前伺った麻生キッチンりあん様の取材記事はこちらから】
―今後、覚王寺様が目指す地域・世の中について教えてください。
内平:麻生という街は住んでいて、僕自身もそうかもしれないのですが、(地域の人の)心に余裕がないなと感じることが結構あったんですよね。なんとなくみんな目の前のことに必死というか。スーパーとかに行っても自分のことしか頭になくて、周りのことが見えずに行動するような場面を目にすることが多かったんですよね。もうちょっと他の人のことを思ったりとか、地域のことを思ったり、心に余裕ができるような活動ができたらいいなというのは考えています。
繰り返しになるかもしれないですけど、僕自身”つながり”っていうのを一番大事に活動しているんですよね。SDGsについても、問題があったときに、その問題と自分とのつながりが感じられないと、問題を解決しようと思わないと思うんですよね。
僕がこの話している時によく思い出すのが、ティクナットハンという外国のお坊さんの話なんです。その方は、「1枚の紙の中に雲が浮かんでいる」っていうことを言ってるんですよね。どういうことかというと、紙ができるためには木が必要ですよね。木からパルプになって紙になっている。じゃあその木がどうやってできるのかというと、太陽の光であったり雨の水であったり、そう言ったものが必要になってくるんですよね。その雨の水を降らせているのが空に浮かんでいる雲。つまり雲があって、いろいろなつながりがあるからこそ1枚の紙が出来上がっているんだということを「この1枚の紙の中に雲が浮かんでいる」という言葉で表現しているんですよね。なので逆に言えば、この紙の使い方を変えたら、雲、つまり環境も変わるかもしれないということなんです。
繋がりを感じることこそが、SDGs問題に対する行動、アクションになるんじゃないかなと考えているので、問題との”つながり”を感じつつ、横の”つながり”、人と人との”つながり”も感じていきたいです。さっき言った残ロウもそうですけど、やはり人と人とのつながりがあるからこそ、自分だけじゃできないことをできているわけですよね。その色んな意味での繋がりを大事にすることこそが大切なんじゃないかなっていうのは本当に思いながらやっているところですね。
地域の一員として関りを深め、一貫して”つながり”を大切にされていることが伝わってきました。
様々なことへのつながりを感じ取り、従来の慣習や当たり前を疑って新しいことへ取り組む。
SDGsに取り組むのに業種や環境は関係ないと感じた取材でした。
覚王寺
住職 内平 淳一
https://www.kakuouji.com/