MDGs で掲げられたグローバル・パートナーシップの構築
“SDGsはMDGsがアップデートされたもの”、ということについては既にご存知の方も多いかと思われます。
MDGsでも、パートナーシップについての目標が掲げられていました。
本記事では、パートナーシップに焦点を当てたSDGsとMDGsの違いについて解説いたします。
MDGs(ミレニアム開発目標)とは
2000年9月の国連ミレニアム・サミットにて、国連加盟国全193カ国と23の国際機関の合意により採択された目標で、2015年までに期間を定め、8つの目標を掲げました。
目標1.極度の貧困と飢餓の撲滅では、1日1ドル未満で生活する人々の割合を半減させる、という目標を2010年時点で達成するなど一定の成果を挙げましたが、2000年からの15年間で全目標を達成することはできませんでした。
SDGsとMDGsの違い
MDGsは、主に開発途上国に対して設定された目標であり、それらの目標は先進国が主導となって決定されたため、開発途上国の意向が反映されていないといった問題点がありました。
達成できなかった目標へ取り組むと同時に、こうした反省を踏まえてアップデートされたのがSDGsです。
SDGsとMDGsの違いとしてポイントとなるのは、MDGsは開発途上国の支援に重きを置いていたことに対して、SDGsでは開発途上国だけでなく、先進国も含めたすべての国々で地球規模の社会課題を解決することに重きを置いている、というところです。
MDGsで掲げたパートナーシップ
MDGsでは、パートナーシップに関する目標は8番、ターゲットは7つ掲げられていました。
目標8.開発のためのグローバルなパートナーシップの構築
ターゲット8.A | 開放的で、ルールに基づいた、予測可能でかつ差別のない貿易および金融システムのさらなる構築を推進する。 |
ターゲット8.B | 後発開発途上国の特別なニーズに取り組む |
ターゲット8.C | 内陸開発途上国および小島嶼開発途上国の特別なニーズに取り組む。 |
ターゲット8.D | 開発途上国の債務に包括的に取り組む。 |
ターゲット8.E | 製薬会社との協力により、開発途上国で必須医薬品を安価に提供する。 |
ターゲット8.F | 民間セクターとの協力により、情報通信技術をはじめとする先端技術の恩恵を広める。 |
MDGs達成に対する最終評価
国連による「目標8.開発のためのグローバルなパートナーシップ構築」の最終評価は以下のとおりでした。
- ODAが2000年から2014年の間に実質66%増加し、1,352億ドルに到達した。
- 過去15年間(2000年から2015年)で携帯電話の契約数は7億3,800万から70億とほぼ10倍まで増加した。
- インターネットの普及率は2000年に世界人口の6%だったものが2015年には43%まで増加し、32億人がグローバル・ネットワークとつながった。
ODA、携帯電話加入者数、インターネットの普及において世界的な進歩がありました。
残された課題
先述の通り、MDGsは一定の成果を上げましたが、一方で男女不平等や貧困、気候変動、紛争などの点において多くの課題が残りました。
MDGsのモニタリングによって、データの重要性が確認され、後発であるSDGsの「目標17.パートナーシップで目標を達成しよう」では、実施手段として「データ・モニタリング・説明責任」が一つの分類として設定されました。
SDGsは新しい開発アジェンダとして、より質が高く、より迅速に入手でき、かつ構成グループに分類することのできるデータが求められ、さらにそのデータを整備するには、強い政治的な公約とさらに多くの財源が求められています。