SDGsにおけるエコタウン
皆さんはエコタウンと聞いて何を思い浮かべますか?
自然豊かな街並み、環境に優しい街、住んでいる人の環境意識が高い、などなど。
エコタウンと聞いて色々と想像できるかと思います。
日本にはエコタウンを位置づける制度があります。平成9年度に創設された制度で中身は、エコタウン事業という「ゼロ・エミッション構想」を地域の環境調和型経済社会形成のための基本構想として位置づけ、併せて、地域振興の基軸として推進することにより、先進的な環境調和型のまちづくりを推進することを目的とする。というのがエコタウン事業です。
(環境省) http://www.env.go.jp/recycle/ecotown/
ただ今回は日本ではなく世界最先端のエコタウンとして有名な ドイツ南西部フライブルク市についてお話をしていきます。
今回は、
この4つのトピックについてお話をしていきます。
環境先進国 ドイツ
環境先進国と知られているドイツ。
ドイツは過去、大気汚染で苦しんだ経験がありました。大気汚染を招いた理由は、工場からの排煙や車の排気ガスにあったのです。その結果、酸性雨で森の木々が枯れてしまったのです。
こうしたことを受け、人々は森を守ろう!と動き出し、様々な取り組みを行っていきました。
まずは排気ガスの削減。車の利用をなるべく減らし、その代わりに自転車専用の道路を作ったり、路面電車の利便性を図り、排気ガスを少しでも減らす努力をしています。次に再生エネルギーの活用。太陽光パネルの推進や風力発電の活用に取り組んでいます。
そしてゴミの削減。カフェなどで繰り返し使えるプラスチックのカップを使い、使い捨ての紙カップを使わないような取り組みを行っています。ドイツの基本法に「次世代のために自然を守る責任がある」という記載があり、環境保護への取り組みを行うことが明記されています。
こうした努力が環境先進国 ドイツと言われる由縁となっています。またSDGsに対する意識がとても強い国なのではないでしょうか。
再生可能エネルギー
日本において菅総理は就任直後の所信表明演説において、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする方針を表明したばかりです。ちなみに日本はエネルギーを無駄遣いする国に分類されているそうです。話をドイツに戻します。ドイツ フライブルク市は消費電力を原子力ではなく太陽光などを利用した「ソーラーシティ・コンセプト」を掲げ、消費電力量の10%を再生可能エネルギーでまかなうとしています。
オフィスや商業施設には太陽光パネルが設置されており、フライブルク市の集合住宅は「パッシブハウス」と言われる新しい住宅の考え方で建てられた家が数多くみられます。
ちなみにパッシブハウスとは、ドイツパッシブハウス研究所が規定する性能認定基準を満たす省エネルギー住宅のことです。いわゆる省エネハウスです。
さらに、石油・石炭といった温暖化に影響があるとされる既存エネルギーから、太陽光・風力・地熱などの再生可能エネルギーへの移行を積極的に行っている上、プラスチック製包装材の削減・リサイクルのシステムも構築されています。
大気汚染に対する仕組みも盛り込んだ循環型社会を構築している国なのです。
このように石炭・石油・原子力に頼らないという意識が街全体に広がり、太陽光パネルを設置すという事も自然な事として受け入れられるのではないでしょうか。
自然と共存
冒頭でもお話しましたが、ドイツは過去多くの木々が酸性雨で枯れはててしまいました。この過去の経験があり、フライブルク市にはヴォーバンという地区があり、ここの地区は自然を大切にし、自然と共存という意識で緑化が進んでいる地区になります。例えば角度が10度以下の平たい屋根には屋上緑化が義務化されていたり、地区を走る路面電車の軌道上はすべて緑化されています。さらに購入した土地に駐車場を設置できない「カーポートフリー」だったり、このヴォーバン地区では地上1メートル以上あり、幹の周囲が80cmを超えている樹木は条例により切ることができないように制限されています。これは、樹木の保存を行い、緑化を進めるのはもちろんですが、ヒートアイランド現象の対策など、さまざまなメリットがあります。
ちなみにドイツの屋上緑化面積は年々増加しており、日本が毎年50から60万平方メートルの増加量に対して、ドイツはその20倍に相当の1000万平方メートルも増え続けているそうです。
そして子供達が自然と多く触れ合えるように、自然体験の推進としてドイツ各地には「森の学校」と呼ばれるエコセンターがあります。こちらのエコセンターでは自然観察などのイベントがあったり、子供達が体全体で自然と触れ合い、自然を体感する環境学習のためのプログラムが実施されているのです。
子供達が未来を担うという思いがこのような取り組みを生んでいるのですね。そしてそう育てられた、このような環境で育てられた子供達が、環境先進国ドイツを、次の世代、また次の世代と繋がっていき持続可能な取り組みとして継承していくのでないでしょうか。
最後に、、、
今回ご紹介したドイツ フライブルク市のように世界全体で、国・街がSDGsを真剣に考え、環境を意識し、自然と共存していけば豊かな地球が守られていくのではないでしょうか。
SDGs 17のゴールで、このドイツ フライブルク市の取り組みを置き換えると、
ゴール7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
ゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
ゴール11「住み続けられるまちづくりを」
ゴール13「気候変動に具体的な対策を」
ゴール15「陸の豊かさを守ろう」
SDGsのゴール達成期間は、2030年です。世界ではゴール達成に向けて様々な動きがあります。全世界に訴えかける人。会社をあげて取り組んだり、個人で取り組んだりする人もいます。
しかし、あと残り9年です。
まだ9年もある。と捉えるか、もう9年しかない。と捉えるのか。
この捉え方で残りの9年でかなりの差が出ると思います。
持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)これがSDGsです。
持続可能、それは何かをした時に、持続しなければなりません。し続けなければならないということです。
上記のドイツでは、
エネルギーをクリーンに、し続けています。
産業と技術革新の基盤をつくり続けています。
住み続けられるまちづくりを続けています。
気候変動に具体的な対策を、し続けています。
陸の豊かさを守り続けています。
皆さんは残りの9年で何を考え続けますか?何に取り組み続けますか?
それとも残りの9年は何もしないことを続けますか?
私たちが住む街も、日本もSDGsの取り組みとして色々な活動を行っています。
その中で私たちに出来ることはきっとあるはずです。
ドイツを見習えば、緑を育てようとか、ゴミを拾うだとか、この記事を読んだ後に誰かにこの記事の内容を伝えるだとか、小さなことかもしれないですが、その小さなことがSDGsの2030年ゴール達成に繋がるのではないでしょうか。
そしてSDGsの基本理念は、『誰一人取り残さない』
この『誰一人取り残さない』は、今地球上で生きている人の事ですが、
私たちが思う誰一人とは、SDGsのゴールが達成された時、未来に生きる人たちにも当てはまると解釈しています。
今日はドイツのお話をしましたが、私たちが住む街もドイツのような街になると信じて、そして何かを行動して日々暮らしていけばきっと実現できるはずです。