サーキュラーエコノミーによる価値向上のための5つの機能②
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サーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデル導入を成功させるために重要な要素の1つとして、「組織的能力」が挙げられます。
本記事では、サーキュラーエコノミーのビジネスモデル導入を成し遂げるにあたって、組織的能力で備えるべき5つの領域のうち、「イノベーションと製品開発:多様なライフサイクルとユーザーに対応したデザイン」について紹介します。
②イノベーションと製品開発:多様なライフサイクルとユーザーに対応したデザイン
企業は従来の経済活動において、運用コストよりも製造コストに資金を投じ、高速化する製品サイクルの中に新製品を投じることで市場を勝ち抜くことを念頭に、イノベーションや製品開発を行います。
しかし、サーキュラーエコノミーの理念を実践するには、より複合的で長期的な視点に立った方針に転換する必要があります。
新製品で顧客を獲得し利益を上げることに加え、何年にもわたって価値が存続し、廃棄物や環境負荷を生むことのない製品を実現していくべきとされています。
このような転換にあたって、米国の英国王立芸術・製造・商業振興協会は、サーキュラー型の設計を4つのモデルに分類して提唱しています。
1.長寿命を意図した設計
アップグレードや修理によりユーザーが長期間利用できるよう、長いライフスパンを前提とする設計
2.リースやサービス提供を前提とした設計
高度な設計仕様と高品質な原材料を採用し、製品の寿命と耐久性を向上した設計
3.製造工程での再利用を前提とした設計
製品を回収し、再利用または再販のために再組み立てすることを前提とした設計
4.原材料の再生を前提とした設計
回収した製品を迅速に原材料フローに戻した後、新たなリサイクル材として取り出せるようなシステム設計
これら4つのモデルを念頭に置くことで、企業は資源利用と製品設計を最適化すると同時に、製品そのものについても高い利用頻度と長いライフサイクルを前提とした設計に目を向けることができるようになります。
前:組織的能力で備えるべき5つの領域のうち、「①複合的なサーキュラー・ネットワークの管理(新戦略)」についてはこちら